Tell’em I TriedGary Mcleod & others

筑波大学会館アートスペース Tsukuba university Art Space

66日〜7月27日(休日:土、日、祝日)

Performance time:火・金 12:00~12:10

VR鑑賞リンクは:https://my.matterport.com/show/?m=MRVZxuaMLeH

開館日:月曜日~金曜日(祝日,年末年始を除く)

開館時間:9:0017:00

問い合わせ:大学会館事務室(TEL.029-853-7959

アクセス:関東鉄道バス:筑波大学中央行き又は筑波大学循環バス「大学会館前」下車

 

Curation : Joan Zhang

Poster Design : Dolgion Ganbayar

 

作家プロフィール・Profile

About Gary McLeod & Others: Gary McLeod is a visual researcher from the UK who uses photography to learn about places. He is an assistant professor in visual communication design at University of Tsukuba in Ibaraki prefecture where he teaches photomedia. ‘Others’ refers to people and things that have contributed to Gary’s learning process either practically or otherwise, but it also refers to the conversations yet to be had with you.

ギャリー マクラウド&アザーズは、フォトグラフィを用いて様々な場所について学習するビジュアルリサーチャーです。茨城県の筑波大学にて、ビジュアルデザイン分野の助教としてフォトメディアを教えています。「アザーズ」とは、プロジェクトに参加ないしは他の形で貢献をして下さった人々や、物事を意味しています。

展示ステートメント・Exhibition Statement

Since 2019 I have been making trips to Iwate prefecture to rephotograph changes in the landscape. It started with Kamaishi and Ofunato in November 2019, followed by Kuji, Tanohata, Taro and Miyako at the end of that year, then Rikuzentakata and Kamaishi again in February 2020, Kamaishi and Ofunato in March 2020 just before pandemic measures kicked in, Kamaishi again with students in November 2020 with a short trip to Ofunato, followed by a longer visit to Kamaishi in March 2021, another in July when the delayed Olympics began, another with students in September, and another trip at the end of the year combined with Ofunato. These were followed by an exhibition in Kamaishi in March 2022, trips to Ichinoseki, Ohara, Oshu and Tono with students in July, further trips to Kitakami, Ohara, Orikabe, and Ichinoseki again in September, and two trips to Kamaishi in the autumn of 2022. Trips to Tono and Hanamaki in the February snow of 2023 were followed by a road trip stopping overnight at Kuji, Tanohata and Miyako in March, and a second exhibition in Kamaishi a week later, and then returning trips to Kitakami, Oshu, Ohara, Orikabe, Tono and Hanamaki at the end of May. 

Listing places was necessary so that you know them, will think about them, and perhaps even remember them if you have visited them before. This exhibition is not about comparing these places; rather it is about photomediated representations of change in these places. Specifically, the exhibition is an entry point into the kinds of change that are necessary or hoped for. These are not concrete assumptions but uncertain observations, ever aware of the fragility of photomedia and its need for belief. Regardless of opinions about change, this is a landscape that is and will continue to be associated with disaster and recovery, sea walls and rocky shores, depopulation and migration, and as a ‘playground’ for photographers and scientists alike. The title of the exhibition is “Tell ‘em I tried”, a casual British shortening of “Tell them I tried”, but I’m not telling you who “them” are. Nor am I asking you to work it out on your own. Rather, I present you a sort of map for orientation. After all, that is what photographs are but have cease to become.

この作品は2019年から制作し始めた。リフォトグラフの手法を用いて岩手県を中心にランドスケープの変化を考察している。作家ギャリー·マクラウド&アザーズが2019年の11月に釜石市と大船渡市を撮り始め、同年末に久慈市、田野畑村、田老市、宮古市を訪れて撮影した。20202月に再び陸前高田市と釜石市を撮影し、パンデミック対策が始まる直前の2020年の3月に釜石市と大船渡市に戻ってリフォトグラフした。そして2020年の11月に学生たちと一緒に釜石市と大船渡市を旅行し、翌年の3月から釜石市に滞在した。延期開催されたオリンピックが始まった7月にも学生たちと、9月にも、そして年末には大船渡市に訪れた。ここまで釜石市を中心に再撮影した写真が去年の3月に釜石市で展示された。その後、7月に学生と一関市、大原、奥州市、遠野市への旅行、さらに9月に北上市、大原、折壁、再び一関市を旅行した。そのほか、去年の秋に2回、釜石市を旅行した。今年の2月に雪が降る中で遠野市と花巻市に行った後、3月に久慈市、田野畑村、宮古市に一泊するロードトリップを行った。1週間後に釜石市で2度目の展示、5月末に北上市、奥州市、大原、折壁、遠野市、花巻市に再訪の旅となった。

その場所を知り、その場所について考え、または以前に訪れた人がいれば、思い出すかもしれない。そのために、場所を列挙することは必要だ。今回の展示は、これらの場所を比較するつもりではなく、これらの場所の変化をフォトメディアで表現することを試みる。この展示は、どのような変化が必要なのか、あるいはどのような変化が望まれるのかを考えるための入口となる。これは具体的な仮説ではなく、不確かな観察であり、フォトメディアのもろさや信念の必要性を常に意識している。これらのランドスケープ写真は、変化についての理解にかかわらず、災害と復興、防波堤と岩場、過疎と移住、そして撮影者と科学者の「遊園地」として展示されている。展示のタイトルは「Tell ‘em I tried」で、「Tell them I tried」を簡略化したものが、「them」が誰なのかを教えているわけでもなく、鑑賞者たちに考えさせるわけでもない。むしろ、方向づけのための地図のようなものを提示する。それが写真であり、写真でなくなってしまったものでもある。

 

 

筑波大学アート・ストリートの2023年度展示計画を公開します。
We are releasing the newest exhibition schedule for the UT Art Street.

PDF版を下記のURLより確認できます。

筑波大学アート・ストリート2023年度展示計画

筑波大学アート・コレクション選 2023-1

茗渓会賞受賞作品より

 

2023年4月11日(火)- 7月27日(木)

筑波大学芸術系ギャラリー

筑波大学芸術系棟2F
つくばエクスプレス「つくば駅」からバス約10分「筑波大学西」下車
入館無料/09:00→17:00/土・日・祝休日 休館
[主催]筑波大学 芸術系
[お問い合わせ]筑波大学芸術系社会貢献推進室  sct@geijutsu.tsukuba.ac.jp

University of Tsukuba Art Collection
Selected Works 2023-1
Works from the Alumni Association’s Prize

April 11- July 27, 2023

UT Institute of Art & Design Gallery
Admission Free
9:00-17:00
Closed: Sat, Sun, and Public Holidays

 

展示作品
森本真依子《Winsomely》2007年 油彩、綿布 227.3×363.6 cm
平成18年度茗渓会賞(卒業研究)
MORIMOTO Maiko, Winsomely, 2007, oil on cotton cloth 227.3×363.6 cm
Alumni Association’s Prize for Achievement in Undergraduate School of Art and Design, 2006

河原由佳《アトリエ》2017年 油彩・マーカー、綿布 194.0×260.6 cm
平成28年度茗渓会賞(卒業研究)
KAWAHARA  Yuka, Atelier, 2017, oil and marker pen on cotton cloth 194.0×260.6 cm
Alumni Association’s Prize for Achievement in Undergraduate School of Art and Design, 2016

馬場洋《風紋》2008年 油彩・テンペラ、白亜地・綿布 194.0×259.0 cm
平成20年度茗渓会賞(修了研究)
BABA  Hiroshi, Wind Ripples, 2008, oil and tempera, chalk ground on cotton cloth 194.0×259.0 cm
Alumni Association’s Prize for Achievement Master’s Program in Art and Design, 2008

筑波大学には、現役および退職教員や卒業・修了生の作品を核にする600点超の芸術資料と、株式会社図書館流通センター代表取締役会長、石井昭氏から寄贈された近世・近代陶磁と近代絵画200余点の石井コレクションで構成される「筑波大学アート・コレクション」があります。このコレクションの形成における最大の特徴は、芸術専門学群の卒業制作と大学院博士前期課程芸術専攻の修了制作から「筑波大学芸術賞」と「茗渓会賞」の受賞作品を毎年、買い上げて収蔵していることです。今回の展示では、「茗渓会賞」受賞作品から3点を選びご紹介します。

UTAC, University of Tsukuba Art Collection, consists of some 600 artworks of faculty members and alums and another 200 pieces, the Ishii Collection (100 eastern ceramics and 100 modern paintings and works on paper, donated by Mr. Ishii Akira). The most distinctive feature of this collection is that we purchase artworks that have received the first prize (Grand Prize for Outstanding Achievement) and the second prize (Alumni Association’s Prize for Achievement) from the degree shows both Master’s Program in Art and Design and Undergraduate School of Art and Design, every year. In this exhibition, we will introduce three selected pieces from the second prize (Alumni Association’s Prize for Achievement) winning works.

 

漆は、「和」を象徴する素材ですが、実際には、東アジアの国々においても広く用いられています。そこで、漆文化を通じて、国内外の東アジア諸大学との国際的ネットワークを強化・拡大していくことを目的の一つに、「東アジアにおける漆文化交流の推進とその継続的支援体制の構築」というプロジェクトを立ち上げました。今回の展覧会は、本プロジェクト企画の一つであり、第一期と第二期に分けて開催します。 

第一期では、筑波大学アート・コレクションの中から漆が用いられた収蔵作品5点を展示します。また、それらの実践について考察を行い、「つくばグローバル・サイエンス・ウィーク(TGSW)2022」にて発表を行った内容をパネル展示します。漆を通して、他大学との交流を実施するにあたり、まずは、筑波大学芸術系において、漆造形に関する教育研究がどのように行われてきたのかを、本展覧会を通して振り返ることとしました。 

 

-工芸・彫塑の視点から- 

筑波大学芸術系では、工芸と彫塑、それぞれの領域において漆造形の実践が行われてきました。筑波大学アート・コレクションを見ていくと、共通の技法として「乾漆」が浮かび上がってきます。乾漆とは、漆で麻布を貼り重ね、支持体を形成する技法です。両領域による、乾漆を用いた造形表現を複合的に捉え直すと、「装飾的表現」と「彫刻的表現」の二つの特性を見出すことができました。この二つの特性が、乾漆ならではの漆造形表現を生み出し、本学アート・コレクション作品に見られる表現性に結実していると言えるでしょう。 

 

本展示は令和4年度 筑波大学人間総合科学学術院・研究科戦略プロジェクト採択課題「東アジアにおける漆文化交流の推進とその継続的支援体制の構築」の成果発表の一部です。 

 

2023年1月16日(月)〜124日(火) 

筑波大学芸術系ギャラリー 

筑波大学芸術系棟2F 

つくばエクスプレス「つくば駅」からバス約10分「筑波大学西」下車
入館無料/09:00→17:00/土・日・祝休日 休館
[主催]筑波大学 芸術系
[お問い合わせ]筑波大学芸術系 川島史也 kawashima.fumiya.gu@u.tsukuba.ac.jp 

 

出品作品一覧 

川村さやか / Sayaka Kawamura 《北の文様》/《Northern Pattern》 2013, 砥の粉麻布卵殻 / Lacquer, Polishing powder, Hemp cloth, Eggshell, 210×170×70.0 cm, 平成24年度(2012年度)茗渓会賞(修了研究) 

長内夏希 / Natsuki Osanai  《りんごは落ちる》/《An apple is falling》 2014, 砥の粉麻布 / Lacquer, Polishing powder, Hemp cloth, Wood, Iron, 106×89.0×122 cm  

飯島聡惠 / Stoe Iijima 《黄色いゼラニウムの咲く場所で》/《The Place Where Yellow Geraniums Bloom》 2015, 砥の粉麻布顔料 / Lacquer, Polishing powder, Hemp cloth, Pigments, 135×320×60.0 cm, 平成26年度(2014年度)筑波大学芸術賞(修了研究) 

宮田岳 / Gaku Miyata 《天を仰ぐ円》/《Circles Catch the Heavens》 

2017, ユリノキスギ / Liriodendron, Cedar, Japanese lacquer, 160×500×240 cm, 平成28年度(2016年度)筑波大学芸術賞(修了研究) 

小谷恵子 / Keiko Kodani 《記憶》/《Memory》 2017, 漆、カツラスタイロフォーム / Lacquer, Katsura, Styrofoam, 80.0×120×70.0 cm, 平成28年度(2016年度)茗渓会賞(卒業研究) 

2枚の絵と1対の彫像が展示されたギャラリー室内の画像

2022年8月1日(月)―9月29日(木)
筑波大学芸術系ギャラリー(筑波大学芸術系棟2階)
9:00-17:00/土日祝休館/入場無料

perspectiveの語源とされるラテン語には、「入念に見る」という意味がある。今日perspectiveは、さまざまな物事に対するわたしたちの視点や見方、考え方、さらには見通しや遠近感などを表している。

SNSなどを介して、ある答えに簡単にアクセスできる現代社会において、わたしたちは自ら思考することを放棄してはいないだろうか。美術作品をめぐってもまた、批評家による評価や解釈と、メディアによる仕掛けに縛られて鑑賞してはいないだろうか。しかし、作品がもつ魅力は、単に既存の解釈によって引き出されるのではなく、むしろわたしたち自身が一見して感じとり、自分なりに「入念に見る」ことで気づく部分も多い。

今回の展示では、鑑賞する位置やアプローチのしかたの変化によって「入念に見る」ことの多様な糸口が提示される作品3点を選んだ。遠くから見えていたものが、近くに立つとまったく異なって見えるかもしれない。遠くからだと平板なイメージとして捉えられていたものが、近づくにつれて、その世界に入り込むような感覚を覚えさせるものに変わるかもしれない。また、作者の意図に沿いながら鑑賞する場合と、作者自身も想定していなかったような視点で鑑賞する場合とでは、その作品から得られる印象が違ってくるだろう。単に「見」るだけでなく、視点を変えて「み」ることで、それぞれの作品世界の広がりを体験してほしい。

出品作品

  • 舩岳紘行《底の手》2010年  油彩、綿布;パネルに貼付  194.3×130 cm
  • 福田健二《霖雨》2010年  紙本彩色  181.8×227.3 cm
  • 土井敬真《もう、ずっと待ってる》1999年  樟、松​  180×247×152 cm

本展覧会の企画について

この展覧会は、博物館学芸員資格に関わる授業の総仕上げである「博物館実習」のプログラム「学内実習」の成果です。筑波大学芸術系では、現職および退職教員や、芸術専門学群および大学院の卒業・修了生からの寄贈作品や卒業・修了制作の優秀作品など400点以上を管理していますが、受講生はグループに分かれ、コンペティション形式でこの学内コレクションを活用した展覧会企画案を立案しました。実施案として全員で取り組むために最終的に選ばれたのが、本企画です。今年の企画案にはこの2年半のコロナ禍における他者との距離に関するものが多くみられました。社会の動きに目を向け、美術館の根幹をなすコレクションをどのような文脈で鑑賞者に提示するのか、そこに企画者の力量が表れます。学芸員を目指す学生たちの初めての企画をどうぞご覧ください。(林みちこ)

博物館実習2022 芸術系受講者一覧

荒井優月、市川結己、伊藤夢絵、稲田和巳、江里萌瑛、江本萌衣、大平香純、木下碧、小池真莉、嵯峨未玲、里村亜呼、下山雄大、正原摂子、白圡恵、波村桜子、藤川朋伽、藤村美吹、宮川嵩広(五十音順)

授業担当教員

寺門臨太郎、林みちこ、水野裕史(いずれも筑波大学芸術系)


鑑賞の手引き

舩岳紘行《底の手》

画面いっぱいに、皺の一本一本や血色のグラデーションが克明に見えるほどに大きく、両手が描き出されています。強い光で照らされた手のひらには、さらりとした質感の白い何かが包まれており、中から小さな四肢が突き出ています。もしかすると、人が埋もれて身動きが取れない状態なのかもしれません。画面の下部で立ち込める暗雲からは火山の噴火口が顔を出しており、両手は遥か上空から差し出されているのだと想像されます。

この作品は、あらゆる観点から鑑賞することができるでしょう。例えば、画中の場所はどこなのか。巨大な手やそれに包まれる白い何か、突き出た四肢はどのような存在で、何を意味しているのか。題名の「底」とは何を指しているのか。画面の外にはどのような世界が広がっているのか……自分なりの分析で想像を深めていくと、作品に対する新たな発見を得られるはずです。

福田健二《霖雨》

背の高い木々が立ち並び、地面には朽ちた木が転がっています。画面中央部で木々の間が開けると、奥に向かって白く、明るい空間が広がっています。白い光はいったいどこまで続いているのでしょうか。

一つひとつの木や葉を観察すると、鮮やかな青、緑などいくつもの色彩が調和しあって、それぞれのものと位置関係を表現しているのが分かります。例えば手前の木と奥の木を見比べると、どのような違いがあるでしょうか。

「霖雨(りんう)」とは、何日も降り続く長雨のことで、渇きを癒す恵みの雨という意味もあります。

作品を観察して、見つけたことを結び付けていくと、はじめて作品を見たときとは異なる視点が生まれてくることでしょう。

土井敬真《もう、ずっと待ってる》

二人の男性が立っています。一人は顎に手を添えて、もう一人はポケットに手を入れて、なんだか手持ち無沙汰な様子。足元にはレンガを思わせる暖色の床面と手前から奥に向かって斜線状に敷かれた点字ブロックが見られ、二人のいる場所を想起させます。また、長袖に長ズボンといった二人の服装から、この作品内に漂うひんやりとした秋冬の空気を感じ取ることができます。

さて、この二人は一体どのような関係なのでしょうか。それは二人の間にある微妙な距離感や視線を向ける方向、その表情と仕草、あるいは題名から読み取ることができるかもしれません。何をしているのか、見つめる先に何があるのか、私たち鑑賞者は彼らにとってどのような存在なのか、読み取った要素から想像してみれば、きっと新たな作品の魅力に出会えるでしょう。

2022年6月27日(月)~7月28日(木)

筑波大学芸術系ギャラリー

筑波大学芸術系棟2F
つくばエクスプレス「つくば駅」からバス約10分「筑波大学西」下車
入館無料/09:00→17:00/土・日・祝休日 休館
[主催]筑波大学 芸術系
[お問い合わせ]筑波大学芸術系社会貢献推進室  sct@geijutsu.tsukuba.ac.jp

SELECTED WORKS FROM THE UNIVERSITY OF TSUKUBA ART COLLECTION
New Acquisition 2021

miyamori keiko
+ memory of the city

June 27 – July28,2022
UT Faculty of Art & Design Gallery
Admission Free
9:00-17:00
Closed: Sat, Sun, and Public Holidays

展示作品
宮森敬子《都市の記憶Ⅲ》2002年 ミクストメディア、亜麻布 230x210cm  作者寄贈 (2021)
MIYAMORI Keiko, Memory of the City III, 2002, mixed media on linen,230x210cm, Gift of the Artist(2021)

宮森敬子《静かな呼吸を感じる環境をつくるための屏風》1994年 墨、鳥の子紙・ 竹 182×300㎝ 作者寄贈(2005年)
MIYAMORI Keiko, Folding Screen to Feel a Gentle Breathing, 1994, india ink on torinoko paper; bamboo, 182×300㎝, Gift of the Artist(2005)

2021年度に新しくUTAC(筑波大学アート・コレクション)に加わった作品は、本 学出身のアーティスト宮森敬子が2002年に制作したペインティング 《都市の記 憶》です。作者から寄贈されたこの作品は、同題の連作ともども長年にわたり個 人の倉庫に眠っていました。UTACにはすでに、宮森が大学院に在籍していた時期 に制作した《静かな呼吸を感じる環境をつくるための屏風》が収蔵されていたこと から、今回それもあわせて展示紹介することにしました。
1964年に横浜市に生まれた宮森敬子は、本学の芸術専門学群と大学院修士課程 芸術研究科で日本画を学びました。《静かな呼吸を感じる環境をつくるための屏 風》を制作した年、宮森は現代絵画の賞である三木多聞賞を受賞したのち一年 間、文化庁在外研修員として米国フィラデルフィアにあるペンシルヴァニア大学 に遊学しました。帰国後の1997年から翌年にかけて、新進アーティストをとりあ げる展覧会「VOCA」と「DOMANI・明日」に立て続けに選ばれた宮森は、その後ふ たたび渡米し、フィラデルフィアに12年、ニューヨークに9年滞在。米国を拠点 に、日本画はもとより絵画という既成の枠にとらわれず、和紙や木炭、墨をはじ めとするさまざまな画材や素材を用いて、異なる時間や場所に存在する自然と人 工物、個と全体の関連性をテーマに、ペインティングやドローイング、オブジェ からインスタレーションまで、幅広く多様な形式と手法で制作と発表活動をおこ なっています。

biographical sketch & exhibition history
1964 神奈川県横浜市生まれ
1993 筑波大学芸術専門学群卒業
1994 三木多聞賞
1995 筑波大学大学院修士課程芸術研究科美術専攻修了
1996 「いばらきバイマニュアル ディアロゴス1996現代性の条件」(水戸芸術館)
1997 「VOCA  ユ97 現代美術の展望ム新しい平面の作家たち」 (上野の森美術館)
  「拡張する美術 ’97」(茨城県つくば美術館)
1998 「DOMANI・明日」(損保ジャパン東郷青児美術館 )
  「流通と大地」(かすみつくばセンター)
2004 Grand Prix, The Meijer Sculpture Competiton (Frederic Meijer Gardens & Sculpture Park House, Grand Rapids [Michigan])
2008 Transformation Award, Leeway Foundation (Philadelphia [Penn.])
2009 Travel Grant, The Center for Emerging Visual Artists (Philadelphia [Penn.])
2010 Fellowships in the Arts, The Independence Foundation (Philadelphia [Penn.])
2015 「宮森敬子展 表面なるもの」(Gallery T、東京)
2018 朝日新聞文化財団助成
2019 「宮森敬子個展 ある小説家の肖像~生きているものと死んでいるものの間 に」(軽井沢高原文庫、北軽井沢)
2020 「宮森敬子展―Surfaces of Time 集められた時の表面たち」(ギャラリーときの忘れもの、東京)

作家サイト https://www.keikomiyamori.com/

UTAC筑波大学アート・コレクション新収蔵作品展
2022.3.30(水)→6.3(金)

2021年度卒業・修了買上作品
2022年3月30日(水)~ 6月3日(金)
筑波大学 芸術系ギャラリー
筑波大学 芸術系棟1階・2階
入館無料 9:00-17:00(土日祝・休館)

UTAC New Acquisition
The Purchased Works from Degree Show 2022
March 30 – June 3, 2022
UT Faculty of Art & Design Gallery
Admission Free
9:00-17:00
Closed: Sat, Sun, and Public Holidays

出品作品一覧

 

1 草野剛《文心雕龍語》2021年, 紙本印影・軸装, 芸術賞(卒業研究)
KUSANO Tsuyoshi, Lines from Wen Xin Diao Long of Liu Xie, 2021, Imprint on paper, H140 x W48cm

2 浜野那緒《How to Wrap Five Eggs by Insects》2022年, ダンボール・パッケージ, 芸術賞(卒業研究)
HAMANO Nao, How to Wrap Five Eggs by Insects, 2022,cardboard,package, H300 x W300 cm

3 藤田悠希《屋彩》20点, 2021年, 陶, 茗渓会賞(卒業研究)
FUJITA Yuki,THE HOME GARDEN, 2021, ceramic (20 works)

4 影山亜美《八百万の神》20点, 2022年, 陶, 芸術賞(修了研究)
KAGEYAMA Ami, Yaoyorozu-no-Kami, 2022, ceramic (20 works)

5 有賀睦《眼差しa》《眼差しb》2022年,水性木版・和紙, 芸術賞(修了研究)
ARUGA Mutsumi, A Gaze (a) A Gaze (b),2022, woodcut, H118 x W88 cm

6 最上健《進化と朽滅》2022年, 樟・水干絵具・墨・藍・天然土絵具, 茗渓会賞(修了研究)
MOGAMI Ken, Evolution and Decay, 2022, camphor, mineral pigment, ink, indigo, H196 x W89 x D62cm

 

筑波大学アート・コレクション選 2021-2
岡崎昭夫

 

2021年12月24日(金)ー2022年3月25日(金)
筑波大学芸術系ギャラリー(筑波大学芸術系棟2階)
9:00-17:00/土日祝休館/入場無料
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、観覧は学内関係者に限定しております。

 

展示作品

岡崎昭夫
《遠い日-rain-(A)》1977年(昭和52), アクリル・カンヴァス, 130x162cm, 第21回シェル美術賞展3等賞, 平成28年度寄贈
《遠い日-rain-77(A)》1977年(昭和52), アクリル・カンヴァス, 162x194cm, 第23回一陽展 青麦賞, 平成28年度寄贈
《遠い日-rain-77C》1977年(昭和52), アクリル・カンヴァス,162x194cm, 第23回一陽展 青麦賞, 平成28年度寄贈
《反転する表面-2014-》2014年(平成26年), アクリル・カンヴァス,182x224cm,創立60周年記念一陽展 損保ジャパン日本興亜美術財団賞, 平成28年度寄贈

※全6点の収蔵作品の中から4点を展示しています。

UTAC筑波大学アート・コレクションとは

筑波大学芸術系では、芸術専門学群および大学院の卒業生・修了生の優秀作品、および退職教員などからの寄贈作品を400点以上所蔵しています。作品は学内各所に設置されているほか、本展示室「芸術系ギャラリー」においては特に近年新収蔵となった作品を中心に展示公開を行っています。
筑波大学アート・コレクションは大学における美術やデザインの教育研究の成果と、それに関するアート・リソースの集積と位置づけられ、今後も増え続け拡張するコレクションです。


  

2021年8月4日(水)-9月30日(木)
筑波大学芸術系ギャラリー(筑波大学芸術系棟2階)
9:00-17:00/土日祝休館/入場無料
※なお、新型コロナウイルス感染症対策による入構規制のため、学外の方はご覧 いただけません。

 

学生による展覧会紹介

私たちの身の回りは、様々なモノで溢れています。それを「何気ない当たり前」 や「普通のこと」として認識している、もしくは意識すらしていないことがほと んどではないでしょうか。捉え方をほんの少し変えるだけで、モノは 新しく生 まれ変わります。
モノの性質や構造を見極め、似たような性質や構造をもつ物質へ、はたまたそ れとは全く異なる事象に見立て、置き換え、重ねることで、新たな表現が生まれ ます。そしてそんな表現を、少し違う距離や角度から先入観を捨てて見てみる と、思いがけない発見があるでしょう。このようにアートにおける「変身」と は、作者と鑑賞者の双方の目線から起こる相互的な作用であると言えます。
この展覧会では、見慣れたモノを表現の媒介として新たな表現を開拓している 作品を集めました。モノたちのアートを介した「変身」をお楽しみください。
 
展示作品
今美佐子《浮遊2015.05.20》2015年 化粧品成分, 紙, パネル
岡崎昭夫《反転する表面-2012-》アクリル,キャンバス
尾崎拓磨《Layered Fractals》2017年 ボール紙(全100点の一部)
大西未沙子《branch》2017年 木枝, 木製パネル(全25点の一部)

本展覧会の企画について(担当教員より)
本展覧会は、博物館学芸員資格に関わる授業の総仕上げである「博物館実習」の プログラム「学内実習」の成果です。コロナ禍で昨年は実施できませんでした が、今年はオンラインの打ち合わせも活用しながら学内実習を行うことができま した。筑波大学芸術系では、芸術専門学群および大学院の卒業生・修了生の優秀 作品、および退職教員などからの寄贈作品を400点以上所蔵していますが、受講 生たちはグループに分かれ、コンペティション形式でこの学内コレクションを活 用した展覧会企画案を立案しました。実施案として全員で取り組むために最終的 に選ばれたのが本展覧会です。美術館の根幹を成すのはコレクションであり、そ れらの作品をどのような文脈で展示するかに学芸員の力量が表れます。学芸員を 目指す学生たちの初めての企画をどうぞご覧ください。

会場の都合により8/2に展示を終了しました

 

筑波大学芸術系では、「UTAC筑波大学アート・コレクション選」の2021年度第1弾として、一昨年秋に取得した明治期の絵画《鑑書会の図》を展示します。この作品は、明治時代に流行した、参加者が書画作品を持ち寄って鑑賞する「鑑書会」「鑑画会」のようすを描いたものです。そしてまた、当代の制度としての美術や、その鑑賞行動のありようをじかに伝える貴重な視覚資料であり、また絵の中に描かれている書作品の詳細や装飾文様、女性が描きこまれていないという点など、美術史、書道史、文化史、民俗学、ジェンダー学の諸点からの調査と研究のための素材に溢れています。今回の展示ではおよそ10年前に開催されたこの作品をめぐる公開研究会での成果を作品とともにあらためてポスター展示することで、アカデミック・リソースとしてさらなる研究の起点となることが期待されます。

 

UTAC筑波大学アート・コレクション選

令和元年度新収蔵作品《鑑書会の図》

2021年6月28日(月)〜9月30日(木) ※会場の都合により8/2に展示を終了しました

筑波大学芸術系ギャラリー(筑波大学芸術系棟2階)

入館無料/9:00〜17:00/土・日・祝休日旧館

主催=筑波大学芸術系

お問い合わせ=筑波大学芸術系社会貢献推進室 sct@geijutsu.tsukuba.ac.jp