アート・ストリート展覧会の年間スケジュールリーフレットが公開されました。

04.2019-03.2020に開催される筑波大学アート・ストリート関連の展覧会スケジュールが公開されました。
サテライトギャラリーを含め、筑波大学アート・ストリートを紹介するリーフレットです。

問い合わせ:筑波大学芸術系社会貢献推進室sct@geijutsu.tsukuba.ac.jp

UTAC 筑波大学アート・コレクション選 2024-3
Selected Works from UTAC 2024-3

2024年12月2日(月)-3月7日(金)

筑波大学芸術系ギャラリー

筑波大学芸術系棟2F
つくばエクスプレス「つくば駅」からバス約10分「筑波大学西」下車
入館無料/09:00→17:00/土・日・祝休日 休館
[主催]筑波大学 芸術系
[お問い合わせ]筑波大学芸術系社会貢献推進室 sct@geijutsu.tsukuba.ac.jp

December 2, 2024 – March 7, 2025

UT Institute of Art & Design Gallery
Admission Free
9:00-17:00
Closed: Sat, Sun, and Public Holidays

展示作品
池宮城 友子《麗(うらら)》1995年、紙本着色 162.1×130.3 cm 平成9年度作者寄贈
IKEMIYAGI Tomoko, URARA(Brightness), 1995, color on paper, 162.1×130.3 Gift of the Artist(1997)

小林 宏《水の音 乾きの詩》1996年、麻布着色 116.7×90.9 cm 平成9年度作者寄贈
KOBAYASHI Hiroshi, The Sound of Water, the Poetry of Dryness, 1996, color on linen, 116.7×90.9 cmGift of the Artist(1997)

桜井 淑子《食事の後》1964年、油彩、カンヴァス 130.3×162.2 cm 平成9年度作者寄贈
SAKURAI Yoshiko, After the Meal, 1964, oil on canvas, 130.3×162.2 cm Gift of the Artist(1997)

桜井 寛《私の朝食》1989年、油彩、カンヴァス 162.2×193.9 cm 平成9年度作者寄贈
SAKURAI Hiroshi, My Breakfast, 1989, oil on canvas, 162.2×193.9 cm Gift of the Artist(1997)

 

 

筑波大学には、現役および退職教員や卒業・修了生の作品を核にする600点超の芸術資料と、株式会社図書館流通センター代表取締役会長、石井昭氏から寄贈された近世・近代陶磁と近代絵画200余点の石井コレクションで構成される「筑波大学アート・コレクション」があります。このコレクションの特徴は、芸術専門学群の卒業制作と大学院博士前期課程芸術専攻の修了制作から「筑波大学芸術賞」と「茗渓会賞」の受賞作品を毎年、買い上げて収蔵していることです。

UTAC, University of Tsukuba Art Collection, consists of approximately 600 artworks of faculty members and alums and another 200 pieces, the Ishii Collection (100 eastern ceramics and 100 modern paintings and works on paper, donated by Mr. Ishii Akira). The distinctive feature of this collection is that we purchase artworks that have received the first prize (Grand Prize for Outstanding Achievement) and the second prize (Alumni Association’s Prize for Achievement) from the degree shows both Master’s Program in Art and Design and Undergraduate School of Art and Design, every year.

科研基盤研究(B)
イギリスにおける近代日本画の受容と批評の実証的研究―NIHON-GAの定義へ

研究成果報告
日英美術交流と近代日本画
NIHON-GA (Modern Japanese-style Painting) and Artistic Exchange between Japan and Britain

2024年10月1日(火)―10月31日(木)
筑波大学 大学会館アートスペース
〒305-8574 茨城県つくば市天王台1-1-1
つくばエクスプレス「つくば駅」からバス約10分「大学会館前」下車
9:00-17:00/土日祝休館/入場無料

本課題ではグローバルな視点から日本画を再定義することを目的として、美術史研究者と日本画家の協働により理論と制作の両面から日英美術交流の実態を考察しました。展示は研究グループのポスター発表および技法・描法に関する資料、文献資料からなります。

研究グループ
研究代表者
林みちこ(筑波大学 芸術系 准教授)
研究分担者(五十音順)
小野文子(信州大学 学術研究院教育学系 准教授)
加藤弘子(都留文科大学 文学部 非常勤講師)
下原美保(関西学院大学 文学部 教授)
山本浩之(筑波大学 芸術系 准教授)

関連イベント
オンライン公開座談会  10月30日(水)13:30~15:00
展示室内から配信
登壇者:研究グループメンバー
要事前登録 https://forms.gle/GAPWKHzjaCQy7Kzb9
10月27日(日)17:00締切、開催前日までにZoom接続先をお送りいたします。

お問合せ先
筑波大学芸術系 林みちこ hayashi.michiko.gn(アットマーク)u.tsukuba.ac.jp
JSPS科研費23K20433(旧課題番号21H00486) 基盤研究(B)「イギリスにおける近代日本画の受容と批評の実証的研究―NIHON-GAの定義へ」関連事業

2024年7月31日(水)~9月26日(木)
筑波大学 大学会館アートスペース
つくばエクスプレス「つくば駅」からバス約10分「大学会館前」下車
9:00-17:00/土日祝休館(および8/13-16休館)/入場無料

芙術館に行き作品を鑑賞するとき、どのような意義を見出すことができるでしょう。わたくしたちはその意義の一つとして、「作品を細部まで観察すること」があると考えました。細部[細=sai] とは、 例えば絵画のばあい色彩[彩=sai]を構造化している物質としての絵具の粒度や彩色行為の結果としてできた凹凸などです。これら作品をなす要素は、複製画像をとおしては正しく認識することができず、実物を鑑賞したときのみ得ることができるものです。そして、このような実物と複製画像や複製物との決定的な差異[=sai] は、作品そのものから受ける印象を大きく左右するものです。
本展の展示作品の中には多くの細い線[細=sai] が散りばめられています。この細い線の観察をとおして、作品の細部[細= sai] まで鑑賞し、より奥深い絵画の世界をこ鑑賞ください。

出品作品

水見剛《残影》 1996 年 紙本着色 100×100㎝

 

 


吉田敬子《漂泊》1991 年 紙本着色 116.7×116.7cm

 

 


森谷明子《七曜の歌》1991 年 紙本着色 116.7×116.7cm

 

本展覧会の企画について
本展覧会は、博物館学芸員資格に関わる授業の総仕上げである「博物館実習」のプログラム「学内実習」の成果発表として開催するものです。筑波大学芸術系では、芸術専門学群および大学院の卒業生修了生の優秀作品、および退職教員などからの寄贈作品を収集し続けており、その数は600点近くに及びます。博物館実習ではこれらの作品を活用した小企画展を2018年度より開催してきました。コレクション研究は美術館の根幹をなす活動です。今年度は課題として指定された3点の日本画作品を基に、議論を重ねて展示のコンセプトやタイトルを設定しました。学生は各作品を担当する班に分かれ、展示に向けて作品研究を深め、鑑賞ツールの作成に取り組みました。展覧会の顔となるポスターも学生の作成によるものです。手作りの小さな展示ではありますが、成果をご覧頂けましたら幸いです。

博物館実習2024 芸術系受講者
磯部知宏、栄前田愛香、大島彩那、岡田文、唐澤依緒里、川島絢子、 川名泰暉、川端夏凛、岸創哉、佐々木陽登、本田穂ノ美、村嶋理子、安田朱里、山川実羅乃(五十音順)

授業担当教員 (いずれも筑波大学芸術系) 寺門臨太郎、林みちこ、武田一文

ポスター・フライヤーデザイン:栄前田愛香

UTAC 筑波大学アート・コレクション選 2024-1
あかえだ いづみ『ミコばあちゃん』絵本原画展
Selected Works from UTAC 2024-1
Original Prints for Picture Book, Akaeda Izumi, Miko-Bāchan

2024年4月1日(火)-5月30日(木)

筑波大学芸術系ギャラリー

筑波大学芸術系棟2F
つくばエクスプレス「つくば駅」からバス約10分「筑波大学西」下車
入館無料/09:00→17:00/土・日・祝休日 休館
[主催]筑波大学 芸術系
[お問い合わせ]筑波大学芸術系社会貢献推進室 sct@geijutsu.tsukuba.ac.jp

April 1 – May 30, 2024

UT Institute of Art & Design Gallery
Admission Free
9:00-17:00
Closed: Sat, Sun, and Public Holidays

展示作品

倉持 いづみ《ミコばあちゃん》2019年、ドライポイント・モノタイプ・手彩色、30.0×42.0cm(15点)、平成30年度筑波大学芸術賞(卒業研究)

KURAMOCHI Izumi, Miko-Bāchan, 2019, drypoint and monotype with hand-coloring
Grand Prize for Outstanding Achievement in Undergraduate School of Art and Design, FY2018

倉持 いづみ《透明なとき》2019年、モノタイプ、105.0×70.0㎝、平成30年度筑波大学芸術賞(卒業研究)
KURAMOCHI Izumi, Transparent Time, 2019, monotype,
Grand Prize for Outstanding Achievement in Undergraduate School of Art and Design, FY2018

筑波大学には、現役および退職教員や卒業・修了生の作品を核にする600点超の芸術資料と、株式会社図書館流通センター代表取締役会長、石井昭氏から寄贈された近世・近代陶磁と近代絵画200余点の石井コレクションで構成される「筑波大学アート・コレクション」があります。このコレクションの特徴は、芸術専門学群の卒業制作と大学院博士前期課程芸術専攻の修了制作から「筑波大学芸術賞」と「茗渓会賞」の受賞作品を毎年、買い上げて収蔵していることです。
今回の小企画展では、平成30年度に筑波大学芸術賞(卒業研究)として収蔵された倉持いづみさんの版画作品を展示します。このうち《ミコばあちゃん》は、本年1月に絵本として出版されました。
あかえだいづみ『ミコばあちゃん』日本標準、2024年
https://nipponhyojun.bookstores.jp/stuffs/aV12yS7hk6

UTAC, University of Tsukuba Art Collection, consists of approximately 600 artworks of faculty members and alums and another 200 pieces, the Ishii Collection (100 eastern ceramics and 100 modern paintings and works on paper, donated by Mr. Ishii Akira). The distinctive feature of this collection is that we purchase artworks that have received the first prize (Grand Prize for Outstanding Achievement) and the second prize (Alumni Association’s Prize for Achievement) from the degree shows both Master’s Program in Art and Design and Undergraduate School of Art and Design, every year.
This exhibition exhibits prints by Kuramochi Izumi, purchased as the Grand Prize for graduation work in FY2018. Miko-Bāchan was published as a picture book in January of this year. (Akaeda Izumi, Miko-Bāchan, Nihon Hyōjyun, 2024).

 

期間:2023年3月〜2024年3月

場所:つくばセンター地区、つくば美術館、つくばカピオ、竹園公園、およびペデストリアンデッキ沿道

主催:筑波大学芸術系

Exhibition period: March 2023 – March 2024

Location: Tsukuba Center area, Tsukuba Museum of Art, Tsukuba Capio, Takezono Park, Along pedestrian deck

Organized by Institute of Art & Design, University of Tsukuba

 

企画:

野中勝利(筑波大学芸術系長)

菅野圭祐(筑波大学芸術系助教)

ロゴデザイン:

木内英実(筑波大学芸術専門学群4年)

Curator:

NONAKA Katsutoshi Dean of Institute of Art and Design, University of Tsukuba

SUGANO Keisuke Asst. Professor, Institute of Art and Design, University of Tsukuba

Logo Design:

KIUCHI Hanami School of Art and Design, University of Tsukuba

 

筑波芸術アート&デザイン・ストリート2023 記録冊子
Art & Design Street by University of Tsukuba 2023 Archive Booklet

記録冊子閲覧サイト Archive Booklet Site

 

展示作品 Works

アート & デザイン・ストリートフラッグ Art & Design Street Flag

フレスコ・リング Fresco Ring

染めて・描いて・つくばをつなげる Dye, Draw and Connect Tsukuba

蝋型鋳造に導かれたカタチ −ブロンズによる彫刻展示− Lost-Wax Casting -Bronze Sculptures-

街路樹に生息し風と生きる怪獣 Monsters that live in roadside trees and live with wind

ちいさなアニマル展 Tiny Animals Exhibition

サンバーン Sun Burn

ならでは形の魅力 −石材による彫刻展示− Attractiveness of the unique forms of stone -Exhibition of stone sculptures-

土と火から生まれた動物たちテラコッタによる彫刻展示− Animal Sculptures Created from Clay and Fire

樹木アート:樹に書く、木に刷る Tree Art : Write on trees, print on trees

トゥギャザー Together

らしの道具:ほうきをつくろうプロジェクト  Tool of Life : Let’s make a broom project

はにかむペデストリアン Honeycomb Pedestrian

 

2023年10月1日、筑波大学は開学50周年を迎えました。芸術に関わる教員組織である芸術系ではそれを記念し、教育研究の成果を社会に広く周知する企画を立てました。つくばセンター地区及びつくば美術館からつくば国際会議場までの約1kmのペデストリアンデッキの沿道にアート&デザイン作品を設置や展示する企画です。筑波芸術の成果を、つくば市民をはじめ来訪者に対して広く発表することにしました。

開学50周年を背景とし、設置、展示する場所を条件として、新たに教員や学生が作品を制作しました。作品としての屋外展示を鑑賞するだけではなく、触ったり、参加したりすることも想定しました。安全性を確保した上で、柔軟な発想による芸術表現の拡張を志向し、その実践の場と機会になります。多種多様な作品を、日常的に目にする場に生み出し、一方では、つくばセンター地区界隈を、アート&デザインの力で元気づけたいという思いもあります。

2023年3月から半年間かけて、順次作品を増やしたり、入れ替えたりして、多彩な変化のある景観の創出を目論みました。9月には予定された作品が勢揃いしました。つくば市のご家族に参加していただいた作品制作のワークショップも実施しました。9月30日につくば国際会議場で挙行された開学50周年記念式典では、国内外から多くの来場者がありました。このペデストリアンデッキに設置、展示されたアート&デザインの作品でお迎えすることができました。

今回、制作された研究領域の多くは、美術館などの屋内展示を前提として作品を制作しています。この企画では、多くの人たちの目に触れる屋外での設置ということで、いわば挑戦を試みた領域もありました。その意味では新たな芸術表現の拡張の実践になります。普段、こうした芸術作品に触れることのない多くの人たちにとって、日常的に触れることができたこと、固定的、人工的なセンター地区の空間に彩りが加わったことなどから、新鮮な感懐を覚えたとの感想もいただきました。

公共空間での設置ということで、つくば市の関係所管課との協議は多岐に渡りましたが、本企画の趣旨をご理解いただき、円滑に手続きを進めることができました。特に文化芸術課の担当者にはその窓口として労を厭わずその任に携わっていただきました。関係各位に感謝申し上げます。

本企画を契機として、本系では様々な機会を捉えて教育研究の成果を広く発表して行きたいと考えています。引き続き、皆さまからのご指導、ご支援をいただければ幸いです。

筑波大学芸術系長

野中勝利

 

On October 1, 2023, University of Tsukuba celebrated its 50th anniversary. To commemorate this occasion, the faculty organization involved in the art and design, Institute of Art and Design, has planned a project to publicize the achievements of education and research to society broadly. This is a project to install and exhibit art and design works in the Tsukuba Center area and along the 1 km pedestrian deck from the Tsukuba Museum of Art to Tsukuba International Congress Center. The achievements of our institute were presented broadly to the citizens of City of Tsukuba as well as to visitors.

Based on the backdrop of the 50th anniversary of the university, faculty and students created new works of art and design, subject to the location where they would be installed and displayed. We envisioned that visitors would not only appreciate the outdoor exhibit as a work of art and design, but also touch it and participate in it. It is an opportunity to practice, oriented toward the expansion of artistic expression through flexible ideas, while ensuring safety. We want to create a wide variety of artworks in places where people can see them on a daily basis, and at the same time, we want to energize the Tsukuba Center area with the power of art and design.

We planned to create a diverse and changing cityscape by sequentially adding and replacing artworks over a six-month period beginning in March 2023. The planned artworks were all arranged in September. We also held a workshop for families in City of Tsukuba to participate in the creation of artworks.The 50th anniversary ceremony held on September 30 at the Tsukuba International Congress Center attracted many visitors from Japan and abroad. We were pleased to welcome them with art and design works installed and displayed on the pedestrian deck.

Many of the research fields involved in this project are creating works to be exhibited indoors, such as in a museum. In this project, some research fields were challenging, so to speak, because their works were installed outdoors where they would be seen by many people. In this sense, it is a new practice of extended artistic expression.

Many people who do not usually encounter such works of art and design commented that they felt a fresh impression from the daily exposure and the color added to the fixed and artificial space of the Tsukuba Center area.

Although discussions with the relevant departments of Tsukuba City were extensive since it was to be installed in a public space, we were able to proceed smoothly with their understanding of the purpose of this project. In particular, I would like to thank the staff of the Culture and Arts Division for their tireless efforts in serving as the contact point for this project. I would like to express my gratitude to all those involved.

With this project as a starting point, we would like to take various opportunities to present the results of our education and research widely.  We would be grateful for your continued advice and support.

Dean of Institute of Art and Design, University of Tsukuba

NONAKA Katsutoshi

建築の研究と実践 STUDYING AND MAKING IN ARCHITECTURE

期間:2023年11月14日(火)〜12月21日(木)
時間:9:00〜17:00
場所:筑波大学 大学会館 アートスペース
休館日:土・日・祝日

出展者:花里 俊廣、山田 協太、加藤 研

筑波大学芸術系の建築デザイン領域では、建築史、建築計画論、建築意匠論を専門とする教員が教育と研究、デザインの実践的な活動をおこなっている。この展覧会では、各々の教員が近年おこなっている活動を写真や図面、模型等で紹介する。

芸術系ギャラリーでの展覧会「オマージュ石膏像」にあわせて、彫塑領域の教員、宮坂慎司が3Dモデルを作製した。像そのものの実地での熟覧にくわえて、3Dモデルによるあらゆる方向、角度からの観察によって、石膏像の製作プロセスと構造を確かめることができる。ここにその3Dモデルを公開するともに、作製した宮坂による「複製の哲学」と題するテキストを収載する。

 

菊地石膏模型所《ファルネーゼのヘラクレス》の3Dモデル

https://poly.cam/capture/1415e294-6b69-41f9-bc90-603c2ec89600

 

複製の哲学

宮坂慎司

右腕を欠くヘラクレス像。しかしながら、不思議と違和感はありません。その姿が自然なのは、ある意味で必然とも言える箇所を境目として腕を失っているからです。どういうことかというと、元々この石膏像では腕は別パーツとして型をつくり、後に接合するという方法でつくられているのです。

石膏像の表層をよく観察すると、そこには型取りの痕跡を見ることができます。まず目につくのはパズルのような構造をしている型の合わせ目です。顔や手、足といった複雑な部分ではより細かな合わせ目の線が見られます。

ここから分かるのは、この像が石膏による割型でつくられたということです。おそらく原型であったのは同形同型の石膏像。現代であれば、硬質な石膏から型を取る際には、ある程度の入り組んだ部分や引っかかりにも対応できるシリコンを用いる選択があります。しかし、菊地が製作にあたっていた当時は、造形の現場にシリコンという素材はまだありません。代わりに、ゼラチンを用いる技法はありましたが、販売用の像を複数つくるためには繰り返しの使用に耐える石膏を用いることが合理的です。つまり、硬質な石膏原型を、同じく硬質な石膏で型取りする必要があり、抜け勾配の型とするために細分化されたピースがつくられました。

割型の跡をあえて削らずに、型取りの痕跡をほぼすべてそのまま残すあたりに、菊地の型取りへの自信の表れが伺えます。型の合わせ目にできたわずかな段差を削ることは、すなわち原型表層の形を削るということです。鑑賞の邪魔にならない限りは、オリジナルから離れるような修正はなるべく行わない方がよい、ということでしょう。そして、この正確な型取りが、複製であっても石膏像に緊張感を与えているのです。型取りの痕跡一つにも、その示し方には複製者として哲学は宿ります。

型取りの工夫はその他の部分にも見られます。実はこの石膏像では、右腕と同じく、左腕、前に踏み出す左脚、棍棒も本体から分けて型を取られたことがわかります。各部分の付け根や接地部分をよくよく観察すると、その痕跡を見つけることができるのです。

これらは、観察と、3Dモデル作成のための撮影過程で気づいたものです。この3Dモデルは、さまざまな方向から撮影した100枚弱程度の写真を合成して作製しました。3Dモデルを作製するためには、像のあらゆる箇所を写すことを心掛けて、視点を少しずつずらして撮影を行います。実体のある形をつくるわけではありませんが、イメージの中では模刻に臨むような感覚もあります。自ずと、撮影者本人も対象をくまなく、それこそ触れるように観察することが求められます。

むろん3Dモデルは本物にはかないませんが、画面上で視点を移動させる行為は能動的な鑑賞に繫がるものだと考えます。また、パースのついた画像データではできないような作品の比較を、あらゆる角度から行うことも可能です。スマートフォンだけでも3Dモデルの作製ができるようになった現代、こうした新たなアプローチからも研究の広がりが期待されます。

(みやさか・しんじ/芸術系助教)

2023年10月4日(水)〜10月27日(金)

筑波大学大学会館アートスペース

午前9時〜午後5時/土日祝休館/入場無料

主催:筑波大学芸術系

企画:寺門臨太郎

 

Selected Works from the Ishii Collection,

University of Tsukuba Art Collection

EI-KYU: Midday Dream

 

October 4 through October 27, 2023

Art Space, University Hall, University of Tsukuba

9:00-17:00, Closed on Sat, Sun, and National Holiday

Organized by Institute of Art and Design, University of Tsukuba

2023年8月1日(火)−11月30日(木)

筑波大学芸術系ギャラリー

09:00~17:00

入館無料

土・日・祝休日休館

主催:筑波大学芸術系

企画:寺門臨太郎

5C棟は、ことし開学半世紀を迎える本学の筑波キャンパスで最も早い時期に竣工した建物です。1970年代の日本におけるモダニズム建築の余光漂う建物の1階西側に配された「大石膏室」には、プレモダン、モダン、ポストモダンを経てなお脈動する伝統的美術アカデミズムの遺風が残っています。

ことし2月、その大石膏室でデッサン教材としての役を終え、木炭粉や砂塵にまみれるばかりの旧い石膏像一躯がみつかりました。高さ70cmほどのその像は、ナポリの国立考古学博物館所蔵の有名な《ファルネーゼのヘラクレス》(3世紀初頭、像高3.17m)の縮小複製です。右腕から先と左指の一部が欠損しているものの、地山背面に残る金属銘板から、工部美術学校彫刻科の一期生、菊地鋳太郎(きくち・とうたろう、1859−1945)が1883年頃に創設した、石膏模型所の製品であることが判りました。製作所の活動が菊地の生前に限られていたとすると、この像は東京高等師範学校の時代に取得され、東京大空襲による大塚校舎(現、東京キャンパス)の焼失の災禍も逃れてきた可能性があります。

17世紀以降、古代や近世の彫刻を原作とする石膏製の模像は、西欧においてデッサン教材、鑑賞と蒐集の対象、美術史学や古典考古学の研究教育ツールとして段階的に展開しました。近代以降、欧米において急激に等閑視されるようになった石膏像は、破壊されて遺棄されることさえありましたが、1980年代以降には美術史学やミュージアム・スタディーズにおける再価値化により新たな学術的役割を得ています。

日本における石膏像は、西欧の美術制度とともに移植された明治時代以降、もっぱらデッサン教材として広まりました。戦後、美術大学や美術学部の入試や授業で不動の人気を博していた石膏像ですが、20世紀も終えるころには元来の役割を失い、センターステージから退いてきています。

原作を模した石膏像は、オリジナルとコピー、作品と非作品を区別し、階層化する西洋近代の価値観そのものの映し鏡ともいえるでしょう。けれども、非西洋的な視点で日本における石膏像を見直すと、そこには受動的で一元的な欧化現象ではない、むしろ能動的で多元的な非西欧化の発現を確かめることができるかもしれません。「オマージュ石膏像」と題する今回の展示は、忘れられていた旧い石膏像に頌歌を寄せ、東京高等師範学校から東京教育大学を経て醸成されてきた本学固有のアートとデザインの教育研究の来し方と行く先を再考する機会となるでしょう。

 

in homage to plaster casts: a heritage of the tokyo higher normal school.

Selected Work from the University of Tsukuba Art Collection. 2023-II.

New Acquisition 2022: Kikuchi Plaster Casting Workshop, Farnese Hercules

 

August 01 – November 30, 2023

UT Institute of Art & Design Gallery

09:00-17:00

Admission Free

Sat., Sun., Public Holidays Closed

Organized by Institute of Art and Design, University of Tsukuba

 

The 5C Building is the earliest building completed on the Tsukuba Campus of the university, which celebrates its half-century anniversary this year. Located on the west half of the ground floor of the 1970s Japanese modernist building, the “Grand Cast Court” still retains the legacy of traditional art academism that pulsated through the pre-modern, modern, and post-modern periods.

In February of this year, an old reproductive plaster cast was found in the Grand Cast Court, no longer used as educational material for dessin, covered in charcoal powder and dust. The approximately 70-centimeter-high statue is a reduced reproduction of the famous Farnese Hercules (early 3rd century, 3.17 m high) from the Naples National Archaeological Museum collection. Although it has lost its right arm and parts of the left finger, the small metal plate on the back of the plinth reveals that it is the product of the Kikuchi Plaster Casting Workshop, founded in 1903 by Kikuchi Totaro, the first student of Sculpture Department of the Tokyo School of Fine Arts. Considering that the workshop was active only during Kikuchi’s lifetime, it is possible that the statue was acquired at the time of the Tokyo Higher Normal School and even escaped the ravages of the Tokyo Air Raid that destroyed the Otsuka School Building (now the Tokyo Campus).

Since the 17th century, plaster casts based on ancient and early modern sculpture have gradually developed in Western Europe as educational materials for dessin, objects to be appreciated and collected, and resources for research in art history and classical archaeology. Though they became rapidly neglected in the West after the modern era, destroyed and abandoned even, they have gained a new role as academic resources through their revalorization in art history and museum studies since the 1980s.

In Japan, plaster casts had spread exclusively as educational materials for dessin since the Meiji era when they were transplanted along with the Western institution of art. While they steadfastly became popular in entrance examinations and studio works at art schools in the post-war period, by the end of the 20th century, they had lost their original role and retreated from the center stage.

Plaster cast, which reproduces the original sculpture, may be a mirror that reflects the hierarchizing modern Western values, distinguishing original and copy, artwork and non-artwork. However, looking at plaster casts in Japan from a non-Western perspective, we may see an active, pluralistic manifestation of non-Westernization rather than a passive, centralized Westernization. This exhibition, entitled “in homage to plaster casts,” will be an opportunity to pay honor to a forgotten plaster cast and to reconsider the past and future of our unique education and research in Art and Design, which has been fostered through the Tokyo Higher Normal School and the Tokyo University of Education.

 

2023年8月1日(火)―9月28日(木)

筑波大学 大学会館アートスペース

9:00-17:00/土日祝休館(および8/14-18休館)/入場無料

美術鑑賞をするとき、作品のみを見る人、作品を見てからタイトルを読む人、タイトルと解説文を読んでから作品をじっくり見る人など、情報を得る順序は鑑賞者によってさまざまですが、 鑑賞の手がかりとして 「タイトル」を確認することが多いのではないでしょうか。タイトルは作品につけられた固有の名前であり、鑑賞者が作品の主題や作者の意図を読み解く上で重要な情報を提供する存在でもあります。本展示では、美術作品とそのタイトルの関係に焦点をあてています。 タイトルの付けられ方によりそれぞれがどのような印象を作品にもたらし、どのように鑑賞に影響するかについて再考する機会を提供します。

When people appreciate art, the order of access to information accompanying the artwork differs for each viewer. Some people look at the work only, some read the title after looking at the work, and some read the title and explanatory text before taking a closer look at the work. In particular, you may often check the “title” as a clue to appreciation. The title is the unique name given to the creation. It is a clue that provides essential information to the viewer in deciphering the work’s subject matter and the artist’s intent. This exhibition focuses on the relationship between the artwork and its title. It provides an opportunity to reconsider the title’s impression on the viewer and how it affects viewing behavior.

 

出品作品 / exhibited works

・渡辺晃一《馬・ウマ・うま・UMA》1995年  油彩、石膏・パネル 180×230㎝

KOICHI Watanabe《A HORSE/a horse /horse /HoRsE》1995 oil on panel with plaster

本作は、基底となる大パネルの上に、四分割状に小パネルを配し、各パネルにはモチーフとして動物の「うま」の頭部がそれぞれ異なる手法で表現される。作品タイトルにある「馬・ウマ・うま・ UMA」の4語は、漢字、カタカナ、ひらがな、ローマ字表記の字面から得られるイメージと画中のモチーフの表現が相互にリンクしていると考えられる。そうなると、「馬」が左方上部、「ウマ」が左方下部、「うま」が右方上部、「UMA」が右方下部にそれぞれ相当しそうだ。この場合、漢字、カタカナ、ひらがな、の表記順に作品パネルを見ていくと、徐々にモチーフの存在が曖昧になってゆき、最終的にローマ字の「UMA」に至ると灰色のモノトーンを基調とした「リトル・グレイ」を彷彿とする「UMA(未確認動物)」となり、全く本質が変わってしまうのがおもしろい。皆さんは四つの表記がどのパネルに対応すると考えるだろうか。

 

・福山菜穂子《ある日のこと》2013年  陶、ガラス

FUKUYAMA Naoko《One day》2013 ceramic, glass

ティーカップ、水差し、トレー。日常使いの何気ない陶器かと思いきや、近づいて目を凝らすとそこには…。カップには小さな窓が並び、玄関らしき入口があり、上階へと続く階段がある。まるで小さな妖精が住んでいるかのようだ。水差しの口からは雲がわき雨の滴が落ちる。トレーには水が蓄えられ、プールのようだ。梯子が見えるから21世紀美術館のスイミング・プールか?(違う) 福田菜穂子の陶器作品には用途を超えた形がある。それは、小さな異世界の入り口のようでもある。ちょっとした遊び心で、日常の一瞬をどこか遠くに飛ばすマジック。使い手の想像力で器を組み合わせれば物語性のある風景も出現しそうだ。お茶を飲む、食事をとるといった日常のシーンが突如リアリティを失って、ファンタジーに変わる。そんな意外な転換が、福田の器の魅力とも言えるだろう。そういえば、おとぎ話の書き出しはどんな言葉から始まっていたか、覚えてる?

 

・西村昭二郎《風ひかる》1977年  紙本着色 91×72.8㎝

NISHIMURA Shojiro《Spring Breeze》1977 mineral pigment, water dried paint, india ink, gold paint and glue on hemp paper

二羽の鳥が描かれており、上部の笹の枝に乗っている鳥は、黄金キンケイの雄。もう一方は一見別の水鳥のように見えるが、こちらは黄金キンケイの雌である。空と地面の境目は曖昧で、画面全体を爽やかなブルーが背景を覆い遠近感を曖昧にしているが、笹の影の描写が二羽の位置関係を巧みに表現する。タイトルの「風光る」は早春の季語で、春の陽光のなかをそよそよと風が吹き渡る様を表す。タイトルを知ると、笹が春の光を受けながら、そよ風に揺らいでいる情景が想像できるのではないだろうか。同じく風を主題にした《風の行方-海》とは、風の強さも季節も、ずいぶん違う。

 

・吉野純《失楽園》1993年 油彩、カンヴァス

YOSHINO Jun《Paradise Lost》1993 oil on canvas 181.8×227.3㎝

「失楽園」は、旧約聖書「創世記」第3章からヘビに唆されアダムとエヴァが神の禁を破り知恵の実を食べ、その罰として神がエデンの園から追放する場面を描いた絵画である。失楽園は、本来神とエデンの園を追放されるアダムとエヴァのやりとりを描いたものが多いが本作は、生命の木の下に佇むヘビとアダムとエヴァの二度と戻れない故郷を思い、嘆く姿を極彩色で描く。赤を大胆に用いた構成は、陽炎のように揺らぐ印象を受け、まさにアダムとエヴァの苦難を表現している。作品だけでは、「失楽園」と想像できないが、モチーフと照らし合わせることで、主題が浮かび上がってくる。本作は、聖書を題材に重厚なマチエールと素朴で詩的なフォルムを用いて描くアカデミックな作品である。

 

・藤田志朗《風の行方—海》1998年 紙本着色

FUJIITA Shiro《Where the Wind Goes – Sea》1998 mineral pigment on hemp paper 181.8×227.3㎝

赤褐色の風景の中で鮮やかな色の旗がたなびいている。画面右、上方に位置する鳥のモチーフは風上を向いているため風見鶏と思われる。その足元には消波ブロックのような立体物、さらにその中から画面左に向かって白い貝殻が綿状に堆積してゆく。これらは、題名にある通り海を連想させるモチーフである。黄土色の地面は浮島で、周りは海かもしれない。遠景には、様々な形の建築物が密集・密着し、近代的でありつつも、その色や造形からは荒涼感や恐ろしさが際立って感じられる。空の色をはじめ、風景はその面積の大半が錆びついたような赤褐色を基調として描かれており、荒廃した街を描いているかのようだ。寂れた雰囲気の中で鮮やかな旗をたなびかせる風はどこへ向かって吹いていくのだろうか。

 

・内田雅三《Hiroshima-90》1990年 油彩、ミクストメディア

UCHIDA Gazo《Hiroshima-90 》1990 oil on mixed media in panel 162.1×227.3㎝

中央には三角形の図形があり、その上に被さるように絵の具が塗られている。画中には他にも影や図形、幾何学的な模様が描かれる。直線や曲線といった規則的な線と中心の激しい筆跡の動きの対比、その筆跡がつくりだす凹凸がこの作品の魅力である。本作品内には一眼でわかるような具象的なモチーフは用いられておらず、太さ、動きの様々な線やそれに伴う影が描写の中心となっており、明らかなモチーフがない分、いっそう画面を構成する図形や色彩、影や線の動きに心惹かれるだろう。具象的な物体は描かれないが、作者が何を思って本作を描いたのかを知るヒントはタイトルにある。《Hiroshima-90》という題には作者の内田にゆかりのある「広島」の名前が含まれる。純粋に画面の魅力を楽しむだけでなく、作者が本作品を制作するにあたって広島の地からどのような着想を得たのかといったことに想いを巡らせてみるのも良いだろう。

 

本展覧会の企画について / About the Exhibition’s Program

本展覧会は、博物館学芸員資格に関わる授業の総仕上げである「博物館実習」のプログラム「学内実習」の成果発表として開催するものです。筑波大学芸術系では、芸術専門学群および大学院の卒業生・修了生の優秀作品、および退職教員などからの寄贈作品を400点以上所蔵しており、受講生たちはこの学内コレクションを活用した小企画展を毎年開催してきました。社会の動きに目を向け、美術館の根幹をなすコレクションをどのような文脈で鑑賞者に提示するのか、そこに企画者の力量が表れます。今年は「タイトル」に着目し、作者と作品、展示と観客の相関関係を問い直す企画となりました。学芸員を目指す学生たちによる展覧会をどうぞご覧ください。

This exhibition is an achievement of practical museological training. The University of Tsukuba has more than 400 artworks given by faculty members and alumni and purchased from awarded students. Each year, students have organized small exhibitions utilizing this on-campus collection. The planner’s competence is revealed in the context in which the collection, which forms the museum’s core, is to be presented to the viewer with an eye on social situation. This year’s exhibition focused on the “title” and questioned the correlation between the artist and the work, and between the museum and the visitors. We would be grateful if the viewers could enjoy the first exhibition of the students who aim to be curators. (Course Instructor)

 

博物館実習2023 芸術系受講者一覧

石船初佳、伊藤紬、江原実祝、遠藤花耶、大石彩乃、奥田琉花、木内英実、笹川元康、竹畠薫、田良島津、永井風花、中谷直子、樋口幸ナギーナ、鶸田佐季、藤井椋子、古瀨秀明、宝田紗和子、三橋美音、和田祐香、渡邉結貴 (五十音順)

授業担当教員

寺門臨太郎、林みちこ、水野裕史(いずれも筑波大学芸術系)